未経験トレーナーがデビューするまで

【未経験から格闘技トレーナーになるには?】現実的な期間と必要なステップ

格闘技のトレーナーと聞くと、「元プロ選手」や「格闘技歴10年以上」といったイメージを抱く方も多いかもしれません。しかし、近年ではフィットネスとしての格闘技人気も高まり、未経験からトレーナーを目指す人も増えています。ただし、やはり技術や指導力が求められるため、完全な未経験者が一人前の格闘技トレーナーになるまでには、それなりの準備と時間が必要です。

ここでは、実際にどのくらいの期間がかかるのか、どんなステップを踏めばよいのかを詳しく解説します。


■ 格闘技トレーナーとは?

まず「格闘技トレーナー」といっても、その内容は大きく2つに分けられます。

  1. 本格的な競技指導(アマチュア・プロ選手の育成)

  2. フィットネスや趣味目的の指導(ダイエット・健康・ストレス解消)

前者は、選手としてのキャリアや実績が重視される傾向があります。一方、後者は運動経験とコミュニケーション能力、指導スキルがあれば、比較的早くトレーナーデビューも可能です。

未経験者が目指しやすいのは、後者の「フィットネス型格闘技トレーナー」です。


■ 未経験からトレーナーになるまでに必要な期間

目安としては以下の通りです。

ステップ 内容 目安期間
【STEP1】基礎習得 格闘技の基本技術、体の使い方、ルールなどを身につける 約6ヶ月〜1年
【STEP2】応用実技 スパーリング・対人練習・ミット打ちなどを通じて応用力を高める 1〜2年目
【STEP3】指導法学習 フォームの見方、伝え方、解剖学や体の知識を学ぶ 並行して学習
【STEP4】アシスタント経験 実際のジムで見学・補助しながら指導力を養う 1〜2年目〜
【STEP5】トレーナーデビュー 少人数クラスや初心者指導から担当スタート 2〜5年目以降

総じて、最短で1年程度、平均的には3〜5年ほどかかると考えるのが現実的です。


■ トレーナーになるために必要なスキルと経験

① 技術力

まずは自分自身がある程度動けることが大前提です。未経験でも、キックボクシングや柔術などのジムに通い、週2〜3回の練習を継続することで、半年から1年で基本的な動きは身につきます。できれば対人練習(スパーリング)も経験しておくと、実戦感覚のある指導ができるようになります。

② 指導力

ただ技術があるだけではトレーナーにはなれません。相手のレベルや目標に合わせて言葉で説明できる、励ます、モチベーションを上げる、というスキルが必要です。これは現場で学ぶ部分も大きく、先輩トレーナーの指導を見て盗むのが一番の近道です。

③ 解剖学・運動生理学

体の動かし方やケガ予防を理解するためにも、基礎的な知識を身につけておくと信頼度が上がります。必須ではありませんが、資格(NSCA、JATI、NESTAなど)を取るとトレーナーとしての信頼度がぐっと増します。

④ コミュニケーション力

格闘技がうまくても、無口で無表情なトレーナーより、親しみやすくて盛り上げ上手な人のほうが人気が出ます。特にフィットネス系ジムでは、エンタメ性も重要。お客様が「また来たい」と思う空気作りがカギです。


■ 実際のキャリアパス例

フィットネスジム勤務(未経験から)

  • 0〜6ヶ月:一般会員としてジムに通い、フォームと技術を学ぶ

  • 6ヶ月〜1年:スタッフ研修に参加、ミットの持ち方などを練習

  • 1〜2年:アシスタントとして会員のサポート

  • 2年〜:クラスを持ち、トレーナーとしてデビュー

プロ選手向け指導(ハードル高)

  • 自身が選手として数年の経験あり

  • トレーナーライセンスや大会実績が必要な場合も


■ 早くトレーナーになるためのコツ

  1. 週3回以上の練習習慣をつける

  2. 指導してもらう時は、ただ言われた通りに動くのではなく「なぜそうなのか?」を考える

  3. ジムでアシスタント希望を申し出る

  4. SNSなどで練習記録・学んだことを発信する(信用獲得につながる)

  5. 体の知識やトレーナー資格も学んでおくと武器になる


■ まとめ

格闘技未経験からトレーナーになる道は、決して簡単ではありませんが、十分に実現可能です。特にフィットネス型の格闘技指導であれば、半年〜1年の準備期間で指導補助に入ることも可能ですし、熱意と継続力さえあれば、2〜3年でトレーナーデビューする人もいます。

一方で、プロや大会を目指す選手を指導するとなると、自身の競技歴や実績も必要になってくるため、長期的な目線で準備を進める必要があります。

最も大切なのは、「教えたい」「人を変えたい」「格闘技の良さを伝えたい」という気持ち。その熱意があれば、未経験からでも十分、道は開けます。